きみに、好きと言える日まで。


男の俺は大して気にしなくても、女の子なら気になるだろう。

体操着になれない彼女は、体育はいつも見学。



そして。


女性にとっては一番大切な胸元に、俺は大きな傷をつけてしまった。


俺の脚なんかよりももっと大きくて、深い……。



彼女の家に上がったあの日に、彼女は俺の前で上半身をあらわにした。


初めて見せられた傷。


俺は目をそむけることなく、その現実をしっかり目に映した。


将来はモデルにだってなれそうな容姿を兼ね備えた彼女を、傷物にしたのは俺。






「ここから……こういう風に……」



自分の胸元を指で辿った。


焼きついて離れない、肩から走る彼女の傷を思い浮かべながら。



「もういいよっ……」



拓弥はそんな俺の腕を掴んで止めた。



ボロボロ涙なんか流してやがる。


俺だって、泣きたい。


けど。


自分で犯した罪は罪。


誰のせいでもないんだ。


泣く資格なんて、ねえ……。


< 261 / 372 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop