きみに、好きと言える日まで。


「ありがとうございます。そんな風におっしゃっていただけるなんて……」

「八神先生のご尽力のおかげで、経過も大分良いそうじゃないですか」

「いえ……私は何も……」



親父も広瀬さんの治療に携わっている。


今後、傷を目立たなくさせるサポートチームのひとり。


加害者の親という立場でもあり、すげーやりづらいと思う。



相手からの要求は、何でも聞き入れよう。


これが俺達家族の出した結論。


100%の非がこっちにある以上、それは当然のこと。


俺の人生を掛けてでも償わなきゃならない。



そう思って初めて広瀬さんの前に連れて行かれた日、彼女は俺に言った。



『あなたの彼女になりたいの』



誰もが驚く言葉だった。


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