きみに、好きと言える日まで。




「耀太君、紗衣は我儘ばかり言っていないか?」

「……いえ」

「甘やかして育てたせいで世間知らずなところもある。すまないな。でも根は優しくていい子だ。よろしく頼む」

「……とんでもないです。自分にはもったいないくらいです」



許されるわけのない罪で、被害者の家族に心配までされ、すまないとまで言われている。


……頭なんか、上げられるわけがない。



「そこでもう一つ、お願いがあるんだが…」

「……っ」



こめかみに汗が流れた。


次は、なんだ……?


父親は表情を変えずに言った。



「君は陸上で、有名な選手だったそうじゃないか」

「…………」

「いろいろと調べさせてもらったんだ」



調べた……?

あまり人聞きの良くない言葉に、手に力が入る。

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