きみに、好きと言える日まで。


「耀くんは?」



不意に振られて、



「あ、俺も……」



……嘘ついた。



「嬉しい……っ」



今度は嬉しさを体一杯で表現する。


ギュッと俺の腰に腕を絡めてきた。


一歩後退したものの、それを受け止めるように思わず手が出た。



思い出す、まひとのキス。



あんなの、まひにとっちゃキスのうちに入んないかもしんないし。


まひの初めてのキスだったかも、知らない。


忘れよう……。



「のど乾いた、なんか飲もう」



タイミングよく見つけた自販機。


早く話題を変えたくて、俺は小銭をポケットの中から漁りながらそこへ近づいた。


最近では、ホットのコーナーが半分くらい占めている。


適当に小銭をてのひらに載せて。



「何がいい?」



振り返って紗衣に聞いた。



「うーん……」



自販機を見つめしばらく考えて



「これにする」



指したのはホットーコーヒー。

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