きみに、好きと言える日まで。


点灯した赤いランプを押す。


落ちた缶コーヒーを渡すと、



「あったかーい、ほら」



紗衣は自分の頬にあてた後、それを俺の顔にも当ててきた。



「うん。あったかいな」

「耀くんは、何飲むの?」

「俺は……」



寒いし……同じコーヒーにするかな。


ボタンを押そうとした指の付近。






「え?耀くん、そういうの好きなの?」



───ガシャン。



俺の手は、ホットコーヒーとはかけ離れたものを押していた。



俺がチョイスしたのは


メロンソーダだった。




……まひが好きだという……。




「ん、まあね……」



なんでこんなの押しちまったんだろう……。



こんなの、ガキの飲みモンだと思っていたのに。



これがまひにでも見えたか?


緑色のボトルを眺め、小さく笑う。



プシュっと開けて一気に流し込むと、痛いくらいの炭酸が喉を刺激した。


骨が溶けるなんていう迷信を信じて、ハイジャンを始めてから一度も口にしてなかった炭酸。


強烈な刺激に顔を歪めた。



「意外。なんか可愛いね」



紗衣はクスッと笑った。





考えるのは


いつだって


まひのことだけ───…

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