きみに、好きと言える日まで。
*第6章*
振り出しの春
秋が終わって冬が過ぎ……。
耀くんに出会って、3度目の春がやって来た。
名前も知らずに影ばかり追い求めていた1度目の春。
仲良くなった2度目の春。
3度目の春は……。
ただのクラスメイトよりも遠い人になっちゃった……。
お互いに避け通した結果、その溝は埋まることはなくて、結局耀くんとは言葉を交わすこともない。
謝ることすら出来ていない。
謝らせてすら、もらえていない。
「さあ、今日も張り切って行こー!」
まだインハイを本気で狙っている凛ちゃん。
教室の中にもラケットを持ち込んで、休み時間も素振りに励む。
ブオンッ……と、空を切るラケット。
「危ないよっ!?」
「ヘーキヘーキ!」
あたしは窓ガラスが割れるんじゃないかってヒヤヒヤだけど、当の凛ちゃんはそんなのまったく気にしていないみたい。