きみに、好きと言える日まで。


「拓弥と同じ舞台に立ってやる!」



勢いを込めて更に素振りすると、



「同じ舞台ってインハイ?無理無理~」

「まだ言ってんの?いい加減あきらめたら?」



耀くんと拓弥くんが、笑いながら間に入って来た。



「うるさいうるさいうるさぁ~い!!」



凛ちゃんはそんな外野を蹴散らす様にラケットをブンブン振る。


こんな風になるのは以前と一緒。



違うのは、



「…………」



目が合わないように、耀くんから瞳を反らすこと……。



……耀くんも。



意識的にお互いを避けるのは板についた行動で、悲しいけどもうそれは自然の行為。


凛ちゃんや拓弥くんをクッションに、同じ会話の空間に居ても。

そこに交わされる言葉はない。



短髪だった髪は、後ろに少し流せるくらい長くなった。


無邪気に笑ってた彼はいない。


雰囲気は格段に男の子っぽくなって、まだあどけなかった顔も男らしくなって、こうして少し距離が縮んだ時にはドキッとしちゃう。


関わって来なかったこの時間が、耀くんを別人へと変えてしまったような気がして、なんだかさみしい。




……いろんなことが、耀くんを大人にしてしまったのかな。

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