きみに、好きと言える日まで。

想いの行方





……今年も、暑い夏がやって来る───





「あ~つ~い~。もうダメ~」



相変わらず男らしい凛ちゃんは、制服の襟元をパタパタ広げる。


6月に入ると気温もぐんぐん上がって、今年も猛暑を予感させた。



「まひろ、アイスでも食べていかなーい?」



部活終わりに凛ちゃんからの提案。


暑いし、あたしもそうしたいとこだけど……。



「今日行くとこあるから、ごめんっ!」



凛ちゃんと別れたあたしは、今自転車を漕いでいる。


今日は、家から学校まで初めて自転車で来てみたんだ。

ある場所へ行くために。



地図で道順はバッチリ調べてきた。


記憶だってまだ残ってるし。



――耀くんと見た

あの夕陽を見に行きたいと思ったの。




景色の記憶も手伝って、30分ほどでその場所に着く。




「わぁ……キレイ……」


初めて見たときと変わらない感動が、そこにはあった。

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