きみに、好きと言える日まで。

この夕日だけは、1年前と変わらない温かさであたしを包んでくれた。


嫌なことも、燻っている思いも、サーっと心の中から消えて行く。


これは一時的なものかもしれないけど

心が洗われた気がした。


耀くんも、こんな風に夕陽を見に来てたのかな……。



耀くんと広瀬さんの笑顔を見て、


あたしも笑わなきゃって思うようになった。



人は忘れる生き物だから。



ぼんやりと見つめていると───






「───まひ」






首を振った先には。







「耀……くん……?」






あの日と同じように顔を真っ赤に染めたシルエット。


それは耀くんを形どっていた。





夢かと思った。


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