きみに、好きと言える日まで。


「……謝るな」

「あたしがあんなもの渡したからっ……」

「───っ」

「ずっと謝ろうと思ってたのに、言えなくて……」

「…………」

「あたしのせいで耀くん……」

「違うっ!!!」

「何も知らないであたしっ……」

「やめろ、違うって言ってんだろっ!」



怖いくらいのキツイ口調に口を噤むと、



「まひ………」



周りの風に溶け込むように、自然にあたしの名前を呼んだ。

壊れ物を包むみたいに、優しく。



「……っ」



何か月ぶりに名前を呼ばれたんだろう……。


ずっとずっと聞きたかった、"まひ"


あの頃と同じように優しく呼ばれたその名前に、心の中で抑えていたものがジワリと溶けだす。



辺りは真っ赤に燃えているのに、他のものが何も目に入らないくらい耀くんしか映らない。


ゆっくり動いた耀くんの手は、そのまままっすぐあたしの頬に触れた。

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