きみに、好きと言える日まで。


「あたし、いい奥さんになれるかなぁ」



柄にもないことを凛ちゃんが聞いてくる。



「うん?なれるなれる!」



馬子にも衣装って言ったら大袈裟だけど、エプロン姿の凛ちゃんもなかなか。


もの事は形からとはよく言ったもの。

すっかりその気の凛ちゃんは、裾を持ってひらりと回る。


このエプロンも、去年の家庭科で作ったんだ。


あたしと色違いで、どうせなら凝ろうといって、レースなんかもつけて若奥様風にアレンジしたりして。


普段ボーイッシュなだけに、凛ちゃんが着るとそのギャップがすごい。



「この姿を、男どもに見せられなくて残念だわ」



お姫様ポーズを決めた凛ちゃんは、ちょっと残念そう。


男子はこの窓から見えるグラウンドで体育の真っ最中。



「瞬くんとか鼻血出しちゃうかも」

「そお?」

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