きみに、好きと言える日まで。

あげてあげてあげまくると、まんざらでもないって顔してる凛ちゃんに笑いながら、洗い物の続きをする。



「あたしこれ戻してくるね!」

「おねがーい」



布巾で拭き終わったお鍋を持って、準備室へ向かった。




「羽鳥さん」



お鍋を定位置に戻そうと背伸びした時。


呼ばれた声に手が止まった。



羽鳥さん……?


クラスのほとんどの子はあたしを"まひろ"って呼ぶ。

それにこの声……。


振り向いた先には予想通り、広瀬さん。



「なにか……」



やっぱり広瀬さんの雰囲気は独特な上に、"あの秘密"を共有しているから構えちゃう。


そんなあたしをよそに、広瀬さんはツカツカと歩み寄ってきた。



え、何?


その勢いに動揺している暇もなく、



───パン……ッ!


頬に、強い痛みが走った。


< 298 / 372 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop