きみに、好きと言える日まで。
拓弥の声が、うるさい。
そんなの。
……考えたこともねぇし。
記録が出るたびに、周りの期待は高くなって。
それに応えてやろうと必死になった。
………誰の為か、なんて……。
「自分自身の為に跳んでみろって」
ひどいことを言ったのに、今日も拓弥は笑ってた。
「そしたら失うモンなんて何もない。いいじゃん。自分が楽しけりゃ」
そう言って笑った拓弥の顔は、心の底から陸上を楽しんでいるように見えて。
素直に羨ましいと思った。
「結果?それがなんだよ。意地もプライドも捨ててさ。好きだったら何も考えずに、ただ跳べばいいんだよ」
「……」
「期待もプレッシャーもなにもない世界。案外いいかもしんないぞ」