きみに、好きと言える日まで。


「なにって、紺野さんには関係ないことよ」

「関係なくない。まひろはあたしの親友だから」



……胸が痛んだ。


その親友に、言えない秘密を持って

こんなに苦しい思いをしてることを、相談出来ないでいるんだから。



「とにかく、あんなこと2度とさせない!」



そう吐き捨てると

力任せに扉を閉め、広瀬さんは出て行った。



「凛ちゃんごめんね。何でもないから――」



転がったお鍋を拾い上げ、準備室にあった水道でもう一度洗う。


シンクにお鍋を入れて蛇口をひねると、



「まひろ、なんでもなくないでしょ?何があったの?」



キュッ。


凛ちゃんが蛇口を止めた。



「…………」



話したくても話せない。


凛ちゃんを信用しているけど、あたし個人の判断で凛ちゃんに話すなんて出来ない……。

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