きみに、好きと言える日まで。
「紗衣が?」
『うん。陰であんなことするなんてひどい。耀くんはあたしのものなのにって』
……あんなこと?
『まひろの顔、ひっぱたいて……』
「……っ。それいつだ!?」
『先週の金曜日……だったかな』
金曜日といえば、橋でまひに会った翌日。
まさか。
最近眠れないと母親が言っていた。
あれを、紗衣が……?
まさかそんなこと……
───"キスして"
───"まだ羽鳥さんのことが好きなの?"
今日の態度は、
そういうことだったのか……?
『まひろも歯切れが悪くてハッキリ言わないし。ねぇ、まひろと何かあったの?』
「ワリぃ、説明は後でっ!」
ピッ。
携帯を切る。
俺は自転車を飛ばした。