きみに、好きと言える日まで。



「耀くん……もう1回聞かせて……」



落ちついてきた頃、紗衣が腕の中で呟いた。



「え……?」

「私のこと……好き……?」

「……好きだよ」



そう言ったら微笑むと思っていた俺の期待は裏切られた。



「嘘言わないで!ここであの子にキスしたくせに!」



逆に紗衣は目を剥いた。



「キス……?」



いつのことを言われてるのか分からず、面喰っている俺に、



「見たの、私。この間ここで耀くんが羽鳥さんにキスしてるとこ」



紗衣は思いっきり唇をかみしめる。


その瞳には、新たな涙が溜まっていた。




……やっぱり紗衣は、あの時……。




「……してないよ」

「…………」

「したかったけど、拒まれた……」

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