きみに、好きと言える日まで。
「ねぇ、どうして!?どうして私じゃ駄目なのっ!?」
「紗衣……っ」
「私には耀くんしかいないのにぃぃぃぃっ!!!!」
「分かった……分かったから……」
胸の中で泣きじゃくる紗衣を見て、初めて愛おしいと思った。
必死に俺に復讐しようとした紗衣が。
それで、いいんだ……。
それこそ、本来俺が受けるはずの罰なのだから。
不安や寝不足が続いてたんだろう。
疲労のピークに達した紗衣は、俺の胸に顔をつけたままそれっきり顔をあげることが出来なかった。
この場所にも、歩いて来たみたいだ。
「今日はもう、帰ろう」
ちゃんと話すのは、紗衣が落ち着いてからの方がいい。
紗衣の母親に電話を入れると、すぐにタクシーでやって来た。
泣き顔の紗衣を見た母親の俺を見る目は、とても厳しかった。
「事情は後で聞かせて頂きますから」
ふたりを乗せたタクシーは、夜の森を静かにあとにした。