きみに、好きと言える日まで。


「あ、今なんて声かけようか必死で言葉探してるでしょ」

「…………」



それを見透かされているあたしは、もっと情けない。



「笑っちゃうよね」



凛ちゃんは空に向かって笑った。



……笑うわけないよ。



辛いはずなのに、笑顔を見せている凛ちゃんに胸が痛む。


でもその笑顔はどこかぎこちない。


……そういえば最近……。

凛ちゃんの笑顔がぎこちなかったことに、どうしてもっと早く気付かなかったんだろう……。




「……拓弥くんのこと、いつから好きだったの……?」



凛ちゃんの気持ちに全く気づかなかったあたしは、親友失格だ。



「高1の夏……」

「……ごめんね」



気づかなくて。


いつも自分のことばっかりだった。

凛ちゃんも苦しい恋をしていたなんて、知らなかったよ。



申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

< 322 / 372 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop