きみに、好きと言える日まで。
まひの影を忘れられず
"申し訳ない"……それだけの気持ちで付き合ってきた自分に腹が立って仕方ない。
紗衣を本気で愛そうとしなかった。
……愛せなかった。
「そろそろ行かないと」
紗衣が、ゆっくり立ち上がる。
「ハイジャン……頑張ってね」
胸が張り裂けそうな俺を置いて、小さく手を振った。
「……ああ。ありがとう」
最後まで凛とした顔を崩さなかった彼女の顔が、
「さよなら」
後ろを向いた途端、歪んでいたことなんて
俺は知らなかった……。
翌日、担任は紗衣の転校を告げた。
突然の転校にクラスメイトは騒然としたが、3日もたてば誰も紗衣のことを口にしなくなった。
元々存在しなかったかのように。
今日もまた、一日が始まる……