きみに、好きと言える日まで。
*第8章*
伝える意味
【耀太】
「カンパーイ!!!」
学校近くの定食屋さんで、ジュースの入ったコップが高々と上げられた。
部活帰りにみんなでよく溜まっている、顔なじみの店主のいる店。
金のない俺達にいつもサービスしてくれる、陸部ご贔屓の店だ。
いまここに、陸上部員が一堂に会している。
あの事故から丸1年。
今日はインハイをかけた地区予選があった。
去年に引き続き、拓弥はインハイ出場を果たし、
俺は……
「耀太!挨拶しろよ!」
「ほらほら立ってー!」
渋る俺を、両脇の奴らが抱えて無理に立ち上がらせる。
「ちょ……っ、おい……」
人前は苦手じゃないけど、こういうのって、なんか照れる。
全員の注目を一身に浴び、俺はボソボソと呟いた。
「今日は、どうもありがとうございます。えーっと……次も、今日みたい跳べたら心おきなく卒業出来ると思うんで、応援よろしくお願いします」