きみに、好きと言える日まで。

2位以下に圧倒的差をつけ、文句なしでインハイ出場を決めた。


2m10cm、自己ベスト更新のおまけつきだ。


ガキの頃は遠すぎて曇りがかっていた栄光を手中にした感想は、やっぱり格別だった。



「つまんねーぞ、その挨拶ー」

「小学生かあ!?」



先輩からヤジが飛ぶ。



「相変わらずマイペースなんだからー」



千夏先輩からも。



卒業した懐かしい面々。

陸部ではない瞬やクラスの友達まで。

俺達の為に、わざわざ掛けつけてくれた。



ほぼ貸し切り状態の狭い店内は熱気で溢れていた。


次から次へと出される唐揚げやフライは、あっという間にみんなの胃袋の中へ。

俺が俺がと争奪戦。


今日のこれは、顧問のポケットマネーらしい。

滅多にないこんな機会に、みんなはしゃいで騒ぎまくっている。



「ほらほら飲めよ」



俺のコップに、どんどんジュースを注いでいく連中。



「おっと!」



波々に注がれ、零れそうになる水面に慌てて口を運ぶ。

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