きみに、好きと言える日まで。
緑ヶ浜陸上部の名前は、去年拓弥がインハイへ出場したってことで、一気に有名になった。
受験倍率は、県立では稀の3倍。
部員も更に膨れ上がり、今では校内一の大所帯だ。
どんな特別メニューがあるのか、どんな敏腕監督がいるのかと期待して入ってきた部員達は、唖然としていた。
なんの変哲もない、
そこらの高校と変わらない草陸上部だったからだ。
それでも一生懸命頑張る後輩たちに、俺や拓弥がコーチを買って出ることもあった。
それは全く苦じゃなかった。
俺の大好きな陸上に、青春をかけてくれる仲間が沢山いることが嬉しかった。
「今年のインハイは近場だもんな!みんなで応援行くぜ。でっけー横断幕作って」
「恥ずかしいからやめろって」
こういうのが嬉しくてたまらない。
今の俺の支えはそんなヤツら。
みんながいたから跳べた。
俺が結果を出すことで、回りを笑顔に出来るなら。
いくらでも跳んでやる。
俺の今の跳ぶ意味は、仲間だ。
陸上部へ入って良かった。
この仲間に出会えてよかった。
インハイに出場出来ることよりも、俺にとってはそっちの方が大きい。