きみに、好きと言える日まで。
エール
3年生にもなると、やっぱり去年までのようにのんびりした気分じゃいられなかった。
みんな進路を真剣に考え始めているし、それはあたしも凛ちゃんも例外じゃない。
お母さんが看護師の凛ちゃんは、同じく看護師の道へ進むという。
希望する大学へ入るために、予備校にも通い始めた。
あたしも……
自分の夢を描き始めていた。
去年はただ漠然と、短大へ進学と書いた進路調査票。
今年はそこに、ハッキリとした進路を書いた。
夢は……"幼稚園教諭"
『幼稚園の先生とか向いてそう』
……耀くんの言葉。
それもひとつのきっかけ。
けど、それがすべてじゃない。
将来の職業にしたいと決意するまで沢山考えた。
耀くんの言葉は、悩んでいる間、ずっと背中を押しつづけてくれた。
そして導き出した答えなんだ。
最近は毎日ピアノ漬け。
調律が必要なほどご無沙汰しているピアノに向かって、今更バイエルを猛特訓。
小6ピアノを辞めたあたしの指は、なかなか言うことを聞いてくれないんだけど……。