きみに、好きと言える日まで。
胸がトクン、と鳴る。
淡い初恋を呼び起こしたみたいな感覚が、あたしを包んだ。
忘れたふりは所詮ふり。
諦めるなんて出来なかった。
あの日、あの場所で
あたしから突き放した
その、相手に。
眩しくて優しい笑顔を向けてもらう。
ただそれだけで、涙が零れそうになる。
「夢を見つけられたのも、耀くんのおかげ。……ありがとう」
なんとか涙をこらえて言葉にすると、
「俺は……なにも」
耀くんは照れたように笑った。
緑ヶ浜陸上部のヒーローじゃなくて、
あたしが好きになった、たったひとりの男の子。
その笑顔が、幼い笑顔に被って
「……優飛ちゃん……元気?」
あたしにそんな言葉を言わせていた。