きみに、好きと言える日まで。


「ああ。幼稚園に入ってますますやんちゃになって参ってるよ」



耀くんは、いつか見たお兄ちゃんの顔になる。



「そっか。もう幼稚園生になったんだ」

「でも……」

「……ん?」

「たまに、まひに会いたいって言う……」

「……ごめんね。また遊ぶって約束してたのに」



結局、口約束だけになっちゃった。


気にはなっていたけど、耀くんと優飛ちゃんを切り離して考えることが出来なかった、身勝手なあたしの都合。


"大人は約束を守らない"


あんな純真無垢な優飛ちゃんに、そんな悲しい概念をうえつけちゃったなら、それはあたしのせい。



「まひが幼稚園の先生になるって知ったら、きっと喜ぶ」



沈んだあたしの声なんて聞こえなかったように、そんなことを言ってくれる耀くん。


その優しさで、胸が温かくなる。

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