きみに、好きと言える日まで。

「俺さ……」



耀くんが、少し遠慮がちに口を開く。



「インハイ出場が決まったんだ」

「うん。おめでとう」



壮行会では、その他大勢として拍手を送っていただけだから。

こうして直接お祝いの言葉を掛けられるなんて……。


それが嬉しくて、自然と笑みが零れた。


本当は、誰よりも先におめでとうって言いたかったんだよ……。



「一応……ガキの時から夢見てた大会だから、今は素直に嬉しい」



噛みしめるように言う耀くんの言葉を、頷きながら聞いた。



耀くんがハイジャンを捨てないで良かった。


跳ばせてくれた広瀬さんには、感謝の思いでいっぱい。


沢山の葛藤と、困難と迷い、結局それは全てプラスの方向へ耀くんを導いてくれた。



あたしは

遠くからずっと見守ってたよ……。


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