きみに、好きと言える日まで。


「あのお守り、すごいご利益あるみたい」

「え……?」

「おかげで、地区予選では自己ベスト更新」



そう言って、耀くんはピースした。



「お守り……?」

「ああ。まひからもらったあのお守り」

「…………」


「俺の今、一番大切なもの」



……っ。



なにも考えられないくらい頭が真っ白になって、ただ涙が溢れた。



あれは、全てを狂わせた引き金となったもの。


とっくに捨てられたと思っていた。



なのに

それが


まだ、耀くんの手元にあったなんて。




「もちろん

インハイにも連れてく───」




あたしの罪を溶かしてくれる耀くんの言葉に、涙が何粒も落ちて行く。


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