きみに、好きと言える日まで。
耀くんの右手が微かに上がった。
「……っ…」
……そんな風に見えた右手は、
また腰の脇に戻され、何かを堪えるようにグッと唇を噛みしめる。
……その手で今、あたしに触れようとしてくれたんだよね。
そんな咄嗟の行動が、また新しい涙を誘う。
耀くんは背を向けて、本棚に本を戻す。
「……8月の第2日曜日、ハイジャン決勝」
「…………」
「……なんて」
「…………」
「ただのひとりごと……」
本を奥に押し込むと、耀くんは静かに部屋を後にした。
ひとりごと、だなんて。
……ずるい。
そんなのって、
ずるいよ、耀くん……。