きみに、好きと言える日まで。
青い空へ
その日は、朝から良く晴れていた。
大会を見に行くか見に行かないか迷っている暇もないままに、凛ちゃんの一言であっさり行くことが決まった。
『拓弥の走り、最後に見たい』
それは、きっと80%の嘘と20%の本音。
そう言えば、あたしが絶対に断らないって知ってるから。
去年と違い、近場で行われるインハイ。
見に行く気になれば行ける。
高校最後の試合。
耀くんの飛躍が見れるラストチャンス。
……見に行きたいに決まってる。
けど、素直な決断が出来ないあたしを、凛ちゃんは見抜いてたんだよね。
『ふたりでひっそり見よう』
凛ちゃんはそう言っていたのに……。
「拓弥~!耀太~!」
競技場に着き、緑ヶ浜陸上部を発見した凛ちゃんは、その輪に向かって走って行った。
えぇっ……!?
ひっそり見るんじゃなかったの!?
1秒で有言不実行にした凛ちゃんに唖然。