きみに、好きと言える日まで。


「あたし達、西ゲートの上の方で見てるから!」



拓弥くんの隣にいる美月ちゃんにも手を振り、あたし達はスタンドへ移動した。



「ここがべスポジらしいよー」



そう言いながら椅子に腰かけた凛ちゃんは、



「なーに。ドキドキしちゃった?」



ほんとにドキドキが収まらないあたしの顔を覗きこんだ。



「ちょっと……やめてよ……」



もう、バレバレだし。

あたしの為に連れ来たって。



相変わらず凛ちゃんの目にあたしはもどかしく映るようで、こうやって冷やかしては面白がる。


気持ちを伝えることだけを急がせないのは、広瀬さんと耀くんが別れたのが大きな要因だと思う。


こうやって笑いながらも、あたしのことをいつも見守ってくれている。




……ありがとう、凛ちゃん。


おかげで、あたしはこの場所に来ることができたよ……。




一度は見てみたかった、大観衆の中で跳ぶ耀くんの姿。


最初で最後だけど、しっかりこの目に焼き付けよう。


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