きみに、好きと言える日まで。
*第2章*
知りたい気持ち
───ダダダダダッ。
家の階段を、勢いよく駆け下りる。
「まひろ、パンが焼けたわよ」
「ん、無理!」
歯ブラシを口にくわえながらリビングへ顔を出すと、
焼き上がったばかりの食パンを手に、お母さんがしかめっ面をしていた。
テレビが映し出す時刻は6:28。
朝の行動は分刻みで決まっている。
「朝食をしっかり食べないと、頭が働かないのよ?さ、座りなさい」
テーブルの上には、果物のヨーグルト添えとココアまで。
「ごめん、今日は無理!」
「果物だけでも食べて行きなさい。朝の果物は"金"なのよ?」
「時間がないの!」
「あと10分早く起きればいいことでしょう」
「明日はちゃんと起きるから!」
遅刻するかしないかの瀬戸際で、金とか銀とか知ったこっちゃない。