きみに、好きと言える日まで。



耀くんは、招集場所まで静かに歩いて行った。



あたしは最前列から見守った。


耀くんの名前がアナウンスされ

両手を上げた耀くんが、ビジョンいっぱいに映し出される。


迷いもなにもない、自信だけに満ち溢れた顔で。




暑い夏の太陽が、耀くんを輝かせる。


耀くんが一番輝けるこの場所で、一番輝いてる彼だけを真っ直ぐ見つめた。


あたしはこの瞬間、ここにいたことをきっと一生忘れない。






両手をあげて、観客に手拍子を求める。


会場が一体になる。


耀くんは大きく息を吐いて。

ユニフォームの右脇を、ギュッと握りしめた。






耀くんはゆっくり助走を始める。



真っ青な空、そしてこれから始まる、あたしたちの未来へと続く道へ───…










【fin】


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