きみに、好きと言える日まで。
それは体を高く浮遊させ
綺麗に反り返った背中は、バーの上スレスレで湾曲を描いた。
……スローモーションを見ている様だった。
バーは振動すら起こさない。
完璧に計算されたバーとの距離。
全くブレない体は、そのままマットに沈みこむ。
彼は仰向けに倒れたまま、しばらく動かなかった。
両手を広げながら。
……まるで、空を一人占めにでもしているみたいに。
あたしは心と目を完全に奪われ、瞬きをするのも忘れてその場に立ちつくす。
彼の背中に羽が生えた。
オレンジ色の空に溶け込んでいく、1羽の鳥。
あたしには
そう、見えたんだ。