きみに、好きと言える日まで。


いつも羽の生えている大きな背中。

触れられるなんて、思ってもみなかった。



「行くぞ!」



耀くんの背中にしがみついて風を切る。


すごく気持ちがいい。


見慣れた景色が、いつもと違うスピードで過ぎていく。


夢みたい。


世界が違って見えた。



「飛ばすぞー!」



車通りの少ない道までくると、

耀くんは今まで以上に車輪の回転を速くした。


腰を浮かして、ペダルに力を込めて。


スピードはビュンビュン上がる。



「やっほーい!!」



坂道を、耀くんが両足を広げながら下る。


やっていることは子供みたいなのに、体感はジェットコースター並。

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