きみに、好きと言える日まで。


怖いとさえ思ってしまう様な、大きな大きな丸い夕陽。


川の水も、山の緑も

あたし達の顔も

全部赤くしてしまうほどの。



「この時期にしか、こういう夕焼けは見られないんだ」



呆気にとられているあたしの横で、耀くんがポツリ言う。



「すごい!すごいよ、ねえ耀くん!」



あたしは興奮を抑えらなくて。

耀くんの袖を引っ張ってはしゃいだ。


こんなに大きな夕陽を見たのは生まれて初めて。

自然番組とか本でしか見たことない。

こんな身近なところで見られるなんて、思ってもみなかった。



「ねぇ、こんな場所どうやって見つけたの?」



そんなに遠くまで来ていないはずなのに、突如現れた小さな渓谷。

周りは緑に囲まれていて、ここは、川の上を渡る小さな細い橋。


都会のはずれに出来た、まるでオアシス。


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