きみに、好きと言える日まで。


「ここな、まだガキん時に父さんが連れて来てくれたんだ」

「お父さんが?」

「ああ。男同士の秘密って言って、母さんに内緒で」



唇に人差し指を立てる。



「そういうの憧れるなぁ……」



お父さんカッコいいな。

男同士の秘密とか、ロマンがあって憧れる。



……でも。



「いいの?」

「ん?」

「そんな秘密の場所、あたしに教えちゃって」



お母さんも知らないこの場所を、あたしが知っちゃったら……ね?



なんだかお母さんに申し訳ないな。

もちろん、お父さんにも。



「まひだから」

「……え」

「まひだから見せたかったんだ」



……心臓の音が、うるさい。

< 60 / 372 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop