きみに、好きと言える日まで。
親しげ過ぎるのもどうかと思ってわざわざ言い直したのに、あっさりそんなことを言う千夏先輩。
咄嗟に返す言葉も見つからなくて、口が半開きになる。
「なんだそれ」
その横で耀くんは不満そう。
でもその会話は、ふたりが親しい間柄ということを示す。
マネージャーさんとはいえ、女の人。
心中、穏やかじゃない。
耀くんに一番近い女の子は、あたし……だなんて安心しているところがあったから。
先輩後輩の垣根なんてないようなふたりの関係に、胸の中がモヤモヤする。
「いつの間にか色気づいてデートかと思えば、もう子供!?」
千夏先輩は優飛ちゃんを見て目を丸くした。
え!?
あの!?
子供って……えっと……。
かなり際どい発言だな……。
あたしはひとり、たじろぐ。
今抱いた気持ちが一瞬で飛ぶくらい。
そんな会話が分かりもしない優飛ちゃんは、相変わらず可愛い顔してストローをチュウチュウ吸っていた。
「それ、冗談に聞こえないから」
まともに相手するのをやめたのか、さっきとは打って変わって随分落ち着いた口調で耀くんは言う。