きみに、好きと言える日まで。
千夏先輩って、いつもこんな感じの人なのかな……。
この一瞬で、人となりの分かる発言をさっきからしている。
あたしはまだついて行けなくて、苦笑いしかできなかった。
そして、
「今日は多めに見てあげるけど、明日はその分二倍練習してもらうから」
「その分てなんの分だよ」
「ってことで、まひろちゃん、ごゆるりと~。おチビちゃもいっぱい飲んで大きくなってね~」
まだ固まっているあたしと優飛ちゃんに手を振り、去って行った。
「面白い先輩だね。ぷぷっ」
「どれが!?」
「どれって……全部」
「まひのツボがわかんねぇ……」
結局何が言いたいのかは分からなかったけど、言いたいことだけ言えて、ある意味すごくいい性格をしてると思ったから。
千夏先輩に対するモヤモヤもなくなっていた。
テニスコートから見える耀くんは、先輩にも可愛がられているのがすごく分かる。
いつも耀くんの周りには人が溢れている。
学年の壁なく誰とでも仲良く出来る耀くんのその個性も、魅力の一つだった。