きみに、好きと言える日まで。


思いだしたらすっかり忘れてたはずの痛みが蘇って、少し憂鬱になった。



「耀太に言ったら?」

「え!?言わない言わない!」



たかが捻挫。

こんなの大したことない。


言ったら、耀くんのこと。

気を遣わせるのは目に見えていた。



「凛ちゃんも絶対に言わないでね」



最後まで黙ってる――




バスは間もなく登山口へ到着した。








班は7人編成。


上まで登りきったら、そこで昼食をとって下山。


高校2年にもなって、なんとも芸のない校外学習。


しかもみんな自分のことで精一杯だし、お喋りすると体力を消耗するからかなり無言。


去年入学したてで行った親睦会もこんな感じで、親睦を深める所じゃなかった。

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