きみに、好きと言える日まで。

昨夜の雨のせいで、土がぬかるんでいてすごく歩きにくい。

下りは特に慎重になるし、それだけでもみんな体力を消耗しているみたい。


でもそこは耀くん。

疲れた中でもみんなを楽しませようと、会話を振っては盛り上げ役に徹していた。



そんな耀くんだったけど……。




「少し休憩するか」



1時間くらい下りて、みんながげっそりして来たところへそう提案した。


耀くんの息づかいも、余裕がなくなってきている。



「俺達一番最後だろ?なんか雲行きも怪しいし、とっとと下山した方がいいんじゃねーか?」

「そうよ。泥まみれになって帰るのだけは勘弁。早く下りよう」



みんなの為を思って掛けた耀くんの声は、あっさり却下。


途中班員のひとりが山頂に忘れ物をしたことに気づいて取りに行ったりしたから、B班はかなり遅れを取っていたのだ。



「……ふぅ。分かったよ。みんな気をつけろよ」



だからか、耀くんもすぐに折れてまた下山を続けた。

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