きみに、好きと言える日まで。

注意力が散漫になっていたのか、突出していた根のような枝に足が引っ掛かってしまったのだ。


ザザザ───…

そのままバランスを崩し、数メートル下まで滑り落ちていく。


足首どころじゃない。

なんともいえない激痛が全身を襲った。



「───ッ……」



なにが起きたのか分からなくて、歯を食いしばりながら上を見上げる。


灰色の雨粒だけが、矢のように落ちてくるのが見えた。




視界が悪くて上の様子がわからない。

あたしがいた場所からどのくらいの距離があるのかも。


すると、


「まひーーーっ!!!!」



見えない頭上から声が聞こえて来た。



「待ってろ!すぐに助けに行くから!」



「……よう……くんっ……」



強くなってきた雨が、見上げたあたしの顔を濡らす。


でも、耀くんの声だけははっきり耳に届いた。



……ゴメン。

耀くん……。


でも、助けて、耀くん……。


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