唯一の愛をキミに【完】
家に寄るかと尋ねる彼女に首を横に振る。


本当はもっと一緒にいたいけれど。


「いや、今日は帰るよ。さすがに疲れしたし、お土産、家族に渡さなきゃ」


さきほど携帯の方に「お兄、早く帰ってきてぇ」と妹のヒナからメッセージが届いていた。


「そっか…。じゃあ、おやすみなさい」


「おやすみ。…あっ、唯!」


マンションに入ろうとする唯を呼び止める。


いっけね、忘れるところだった。


「これ、俺から唯への軽井沢のお土産」


唯に渡したのは美術館で購入したブレスレット。


「開けてみて」


そう促すと唯はそっと袋を丁寧に開封した。



「っ!上原くん、これって…」


「唯が欲しがってたもの。あれ、もしかして違った?」


あまりにも驚いている唯の顔に、そのブレスレットでよかったんだよなと急に不安になった。
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