唯一の愛をキミに【完】
翌日、唯と一緒に大学へと向かうと前の方に由香里と由香里を取り囲む集団に気がついた。


「上原くん、手…」


「ん?手がどうした?」


いつもは由香里がいると唯と繋いでいた手を自然と話していた。


最初はただ由香里に、好きな女に彼女と仲の良いとこを見られるのが嫌だった。


唯のことも好きになっている今、離さなくてもいいのだけれど逆に気恥ずかしくなってしまい、由香里の姿が見えたら手を離す合図のようになってしまっている。


だけれど、今回は離さなかった。


いや、もう離すつもりなんて俺にはない。


気付いていたんだ。


由香里が好きで、唯は偽りの彼女だったけれども、


ようやく自分の気持ちに気付いた。


今は唯だけが愛おしいんだと。


いつからかなんて明白にはわからないけれど、日に日に俺の中で唯の存在が大きくなっていき、


由香里に対しての好きはもう恋愛ではなく、友人としての意味しかないことを。
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