唯一の愛をキミに【完】
そして動物園に行く当日、


唯が作ったお弁当やレジャーシートを持って駅へ向かうと、本城と本城の隣にいる小さな男の子。


「お姉ちゃん!」


遺伝子って怖いな。


ムカつくけど本城は顔は良いから、その息子であるこの子もかなり可愛い顔をしている。


「お姉ちゃん!こんにちは!それと今日はありがとう!レオ、すっごい楽しみなんだ!!お兄ちゃんもありがとう!!」


「…おい、この子、本当におまえの子か?嘘だろ、こんな良い子がおまえの子のはずがない」


「相変わらず失礼なヤツだな。唯、早く別れた方がいいぞ。そして俺に乗り換えろ」


俺に乗り換えろ、なんて冗談じゃないぞ。


本城と睨みあっているけれど、本城は仕事に向かうということで名残押しそうにその場を離れ、俺たちは動物園へと向かった。


動物園なんて久々に来たけれど今人気の動物園だけあってとても賑わっていた。


小さな子どもを連れている家族連れが多い。


唯と唯の手を繋いでいるレオを見て、俺たちも周りから見たら家族に見られるのかと思うと少しこそばゆい。
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