唯一の愛をキミに【完】
唯は明るくはしゃいだ様子をみせて、一瞬でこちらに笑顔を向けた。


「あっ、ごめん!ボーってしちゃった。レオくん、ライオンかっこいいね」


バカだな、唯は。


唯と出会って、付き合ってもうすぐ1年。
1年唯の側にいる俺が唯のその笑顔が誤魔化しの笑顔だと俺にはわかるのに。


動物園の閉園時間が近付き遊び疲れたのかレオは眠たそうに目をゴシゴシと擦る。


そしてまたレオを背中におぶるとレオは静かに寝息を立て始めた。


「上原くん、今日はわたしのわがままに付き合ってくれてありがとう」


「いや、俺も楽しかったからいいよ。まぁ、あいつの頼みっていうのが釈だけど。…まったく、かっこ悪いな。俺」


「えっ?」


「唯のこと、あいつから守る。なんてかっこつけて言ったわいいけど、結局いつの間にか唯が自分で昔の殻を破いてる」


以前の唯なら、本城が現れたときも慌てるだけできっと俺が解決するまでじっと後ろで待っていただろう。


だけど、本城とレオのことで自分で動きたいと考えた。


「俺が知らない間に唯は強くなって、きっと…」


そう言いかけたとき、背中の上で寝ていたレオが目を覚ました。
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