唯一の愛をキミに【完】
レオが起きたことによってさきほどの会話が途切れる。


再び駅に戻ると本城が俺たちを待っていた。


「お姉ちゃん、お兄ちゃん。ありがとうございました!また遊んでね!」


「うん。また遊ぼうね」


唯はかがみこんで、約束とレオと指切りをした。


「唯、そいつと別れたら俺に報告しろよ?いつでも迎えにいくから」


「…勝手なこと言うなよ。唯、帰るぞ」


相変わらず唯を口説く本城にムカつきながら、さよなら、の代わりにレオの頭をクシャリと撫でて歩き出す。


唯が小走りで俺のあとを追ってきた足音が聞こえたが、スピードを弱めることはできなかった。


「上原くん、さっきのことだけど」


「さっきって?」


「ほら、何か言いかけてたでしょ?わたしが強くなってって。その後、何を言おうとしてたの?」


唯が尋ねてきたけれど、


「…忘れた。大した話じゃないから、唯は気にしないでいいよ」


「…そっか」


それを口に出すと本当になりそうで怖い。


ーーー俺が知らない間に唯は強くなって、きっと…


俺を必要としなくなるのかなーーー
< 118 / 150 >

この作品をシェア

pagetop