唯一の愛をキミに【完】
キスは飯のあとでもいいか。空腹を満たすことがまず大事だ。


充から教えてもらった上手いイタ飯屋に唯を連れて行くと、やはり流行に敏感な充の情報だけあって店の前まで行列ができていた。


「予約してくればよかったな。悪い」


「ううん、上原くんと一緒に待ってる時間も楽しいから大丈夫」


そして、たくさんのいろんな話をしながら順番が来るのを待っていると一組のカップルが出てきた。


「えっ…」


唯が発した言葉に俺も同じく驚いた。


「充…」


「てっ、哲!唯ちゃんも…」


この店は充が教えてくれたから、充が来ていても何ら不思議はない。だけど、


「みっちゃん、だぁれ?」


充の腕にしがみついている女は由香里ではなかった。


「いやっ、哲、違っ!この子はそんなんじゃなくって!俺たち急ぐからもう行くわ!!」


そう動揺しながらも女の腕を引っ張りながら走り去る充。
< 123 / 150 >

この作品をシェア

pagetop