唯一の愛をキミに【完】
「軽井沢でスーパーに寄ったときに長電話してた相手か?」


「さすが哲。よくわかったね」


「一緒に軽井沢に行っていた由香里がおまえに長電話をするって考えられないからな」


ご名答、と嬉しくもない正解をもらい充は自傷気味に笑ってみせた。


「大学入って由香里のモデル活動が忙しくなってすれ違いもあって、そんなときに声をかけられたのが可愛い子だった。よくある話しじゃない?」


「…その子とは、どうするつもりだ?」


「どうしよっか?」


どうしよっか?って…。自分の事なのにヘラヘラと笑っている充。


充と由香里の問題だから、これ以上俺からは言えないなと思い席を立つ。


靴を履きながら玄関で見送りをしてくれる充に背中を向ける。


「充」


「ん?」


「大切なもの、見失うなよ」


振り返ると充は笑いながら軽く俺に手を挙げた。


「りょーかい」


本当にわかってるのか?まぁ、結局決めるのは充自身だしな。
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