唯一の愛をキミに【完】
「信じらんない!唯ちゃんの気持ちをなんだと思ってるのさ!」


「本当、そうだよな…。あんな優しい子傷付けて、最低だよな、俺…」


「哲、まさかあんた…」


俺の気持ちがわかった由香里に力なく頷く。


「あぁ。由香里のことが好きだった。だけどいつの間にか唯のことばかり考えてる」


由香里に片思いをして、行き場のない俺の想いを救ってくれたのは紛れもなく唯だった。


「じゃあなんで唯ちゃんと別れたの?」


「このまま偽りの関係を続けたくなかったから」


「哲は不器用だね。もっと器用に生きなきゃ」


うるせぇな、と思いつつギロリと睨む。


「充に浮気された挙句別れたおまえに言われたくない」


「うるさい。哲、好きだった女に対して厳しくない?」


「過去の話な」


「まぁ、哲が唯ちゃんと別れてもわたしは唯ちゃんと仲良いし?ってか唯ちゃんと友達だし?傷心者同士、合コンに行こうかな」


「おい、ふざけんなよ」


由香里はさきほど冗談を言っていた表情から一転、真剣な顔をした。
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