唯一の愛をキミに【完】
「…でもそういうことだよ、哲。唯ちゃんと別れた今、哲に唯ちゃんのことをアレコレ言う権利はないんだよ」


由香里は俺に現実を突き出す。


俺以外の誰かが唯の愛を一身に受けるときがくるのかもしれない。


そう考えただけで気がおかしくなりそうだ。


「まぁ、失恋したばっかりのわたしが言える立場じゃないけど…」


「わかってる。ただケジメとして由香里に俺の気持ちを伝えてたかっただけだから」


「そっか…。じゃあ、わたしもケジメとして。…ごめんなさい。哲のことは大切な友達だけど、それ以上に見えない」


「あぁ、わかってる。ありがとう、答えてくれて」


由香里からノーとはっきり突きつけられて、ストンと長年つかえていたものが落ちたような、


ようやくこの片思いに終止符を打てた。


由香里のことが好きだった。


明るくて優しくて可愛くて、由香里を好きになれて良かったーーー
< 142 / 150 >

この作品をシェア

pagetop